◾️STATEMENT
世界を旅する猫「 Le Chat」が東京に帰ってきます。
世界的に高い評価を受けるアーティスト、ジョージ・バイヤーのミステリアスな黒猫 “Le Chat”が、ユーモア、ノスタルジー、幻想を携えこれまでで最も野心的な「 Le Chat」展となって東京に帰ってきます。
アメリカ、韓国、香港、台湾で観客を魅了してきた “Le Chat”は、ついに東京に舞い戻り、新たな冒険を展開します。スケッチ、日本画、水墨、シルクスクリーン風のテクスチャ、透明フィルムによるレイヤー構成 -すべてが一点もの。
どの作品も、ひとつの宇宙です。
バイヤーのアートは、常に文化の交差点に生きています。英国に生まれ、日本、キューバ、ロシア、アジアや中東を巡った旅の記憶が、個人的でありながら普遍的なビジュアル詩として作品に息づいています。
“Le Chat”は、遊び心と深遠さを併せ持つ存在。人生と知覚、そして不条理な美を映し出す、超現実的な鏡のような存在です。
 
「私の作品は、 見るもの 想像するもの の対話。
Le Chatはその使者。旅人であり、道化であり、
柔らかな足音で記憶の中を歩く存在です。」
— George Bayer
 
1980年代の日本での創作期から現在に至るまで、多文化に根ざした表現を続けてきたバイヤーの世界に、どうぞご期待ください。
“Le Chat”はただの猫ではありません。
それは、問いかける鏡であり、想像力をくすぐる旅人であり、
私たちの「見る」という行為そのものへの、美しい再発見なのです。
 
ーーーーーーーーGeorge Bayer
 
George Bayerは、長く世界を渡り歩く中で培った多文化的感性を創造力の源泉としてきた国際的なアーティスト。
彼自身が語るように 90年代の日本滞在中には、映像ディレクターとして坂本龍一氏やサザンオールスターズといった日本を代表するアーティストと作品を制作、それを通して表現力と活動領域を大きく広げ、それは現在の活動につながります。
彼の作品世界の中心にあるのが、《 Le Chat》という猫のキャラクター。
年齢や性別、国籍を持たない の姿を借りた Bayer自身の姿でもあります。
幼少期に紙で招き猫を作り、恋や友情のきっかけとして配っていた体験から芽生えたこのキャラクターは、 Bayerと世界をつなぐ存在として育まれてきました。
Le Chat》は彼が訪れた都市や文化を旅するように描かれ、幼少期の転居や動物に慰められた経験から育った自己を代弁する深い根を持っています。
今回の個展「 THE AWAKENS」は、長年温めてきた《 Le Chat》をさらに深く、そして大胆に甦らせる場であり、幼少期の記憶と旅の記憶が織り込まれたこの存在は、 Bayerの感情と経験が息づく「もうひとつの人格」として立ち現れます。
観る者の想像力を覚醒させる儀式のように、ユーモアとシリアス、美と遊びを軽やかに交差させ、彼の創造力が私たちに未だ見ぬ旅への一歩を誘います。
 
ーーーーーーーー Curator 米原康正





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プロフィール
国際的なアーティストであるジョージ・ベイヤー。
彼のキャリアは数十年に及び、世界のアートシーンにおける重要人物として知られる。
日本、ロシア、アフガニスタン、中国、トルコ、台湾、ヨーロッパなど世界各地で彼の芸術性は形作られ、キューバ、シチリア、ロシア、アメリカから影響を受けた彼の多様な背景を反映して、作品を制作している。
80 年代から 90 年代にかけての日本での経験は、彼の芸術の道に影響を多く与えた。
ビデオアーティスト、コンサートステージデザイナー、音楽プロデューサー、ミュージックビデオディレクター、そして、ファッションショー、コンサート、インタラクティブビデオプロジェクトのクリエイターとしての役割を探求した。日本のアーティストや企業とのコラボレーションは、彼の芸術の旅をより豊かなものにした。
50 年にわたる政治的抗争、犠牲、回復力といった彼の生きた経験が作品に反映され、大胆な色彩、印象的なイメージやユーモアで作品が構築されている。また、フロリダの風景、アジアのトレンド、トルコの文化的タペストリー、中世のキャラクターの神秘性に根ざしている。